
Channel News Asia: Reversing A Cashless Mistake (November 19, 2019) Retrieved from https://www.channelnewsasia.com/news/video-on-demand/why-it-matters/reversing-a-cashless-mistake-12102480
マッキンゼービジネスコンサルタントによると2019年5月の時点で10人に7人のシンガポール人が Mobile Wallet を利用しており、App Annie によると、よく利用されている Mobile Wallet は、 Grab Pay, PayLah! そして、UOB Mighty Pay だそうです。
2017年から現在まで約28,000,000 件、金額にして約46億シンガポールドル(1ドル80円で計算すると約3.7千億円) のPeer-to-Peer の入出金が行われているそうですが、みんな間違いなく相手に送金できているのでしょうか?間違えて他の人に送ってしまったってことはないのでしょうか?もし、間違えてしまった場合にはどうしたらいいのでしょうか?といったことがレポートされているビデオクリップです。
ここで内容を少し紹介したいと思います。
電話番号を指定することによって、相手に簡単に送金できますが、もし間違った番号に送ってしまったらどうしたらいいのでしょうか?
PayLah!サービスを行っているDBS銀行のWebサイトを見てみると、もし間違った番号に送金してしまった場合には、その人に連絡してリファンドを依頼してください、と書いてあります。

DBS (November 19, 2019) Retrieved from
https://www.dbs.com.sg/personal/support/bank-local-wrong-funds-transfer.html
DBSのPayLah!サービスの担当者のインタービューの中で、もし間違えて送金してしまった場合、なぜDBSはその送金をキャンセルしてお金を送金元にもどせないのか、とレポーターの人が聞いていました。それはお金を受け取った人の承諾もとらずに、それが本当に送金間違えのケースなのか、送金されるべきはずのお金だったのかは、送金者の依頼だけでは確認がとれないからであるとの回答でした。しかしながら、間違えて送金してしまうケースというのはとても少ないらしく、間違った送金相手に連絡がつかないので、リファンドをしてほしいとDBSに連絡がくるケースは0.001%にも満たないのだそうです。
では、間違えて送金してしまった相手にリファンドに応じてもらえない場合はどうしたらよいのでしょうか?
シンガポールの弁護士さんの話によると、間違って送ったお金の所有権は送金者にあるので、もし送金相手がリファンドに応じなかった場合、警察に報告するか、提訴するか、どちらかの手段にでないといけないそうです。
でも、Peer-to-Peer で知り合いに送金するのは、たとえば夕飯代を割り勘にして50ドルくらい送る、といったケースだと思いますが、数千円のお金が戻ってこないからといって、警察に行ったり提訴することのほうが、時間と労力がかかってしまいますよね。
では、Mobile 決済のしくみを提供している側は、なぜリファンド機能をつけないのでしょう。
ここで、さまざまな決済方法を扱っているお店の店長さんのインタビューがありました。お客さんからはわかりませんが、クレジットカードやPayPalでは、決済を行うお店がカード会社に手数料を支払っています。現在のところ、PayLah!といったMobile 決済を扱うお店側の手数料は、クレジットカードやPayPalの手数料に比べて格段に安いのだそうです。ですが、クレジットカードやPayPalはリファンド機能があります。つまり、そういうサービスがあるかどうかの違いなのでしょう。
Mobile 決済を利用する場合、手軽ではあるけれど、利用者が気を付けて使わないといけないということですね。
さて、DBSのインタビューでもありましたが、間違って送ってしまった場合、それを受け取った側に連絡すると、驚くことに、ほとんどの場合すぐにお金を返してくれるそうです。
10年位前にお財布を落としたときも、警察に届けたら、IDとか入ってるのだったらすぐにもどってくるよと言われました。実際、1週間くらいしたら、お財布の中にはいっていたカード類がすべて郵送されてもどってきました。お財布を拾った人が、お財布とお金をとって、使ったら足がつくと思われるカード類には手をつけずに送り返してくれたのです。お財布とお金をとられて頭にくるところですが、IDを返してもらったおかげで再発行は免れるので、なぜか“ありがとう”という気持ちになってしまいました。つまり、シンガポールはなくしたものが戻ってくる国なのです。
Mobile 決済で間違って送金してしまってもお金が戻ってくるのは、そういう国だからなのかもしれません。
References:
The Straits Times: Mobile wallet operators race to be the best
https://www.straitstimes.com/singapore/mobile-wallet-operators-race-to-be-the-best
Asia One: GrabPay is most popular e-wallet in Singapore: Report
https://www.asiaone.com/digital/grabpay-most-popular-e-wallet-singapore-report
Channel News Asia: Screwed up an e-wallet payment? Here’s how to get your money back
https://www.channelnewsasia.com/news/cnainsider/screwed-up-mobile-wallet-payment-how-to-get-your-money-back-12173718